海野光弘の作品に思う

Sceneken

2021年12月16日 20:11


【海野光弘作 "縁通し"】


昨日永田さんのアトリエを訪ねた後、永田さんをお誘いして豊橋市二川宿本陣資料館で開催されている“海野光弘展“に行って来ました。



島田の海野光弘版画記念館を訪ねて初めて海野の版画作品を観た時に衝撃を受けました。
物体描写の繊細さ・リアルさ、細部表現の精巧さ・緻密さ、色彩の変化とグラデーション。
どの視点一つをとって見ても木版画作品とは思えませんでした。

で、木版画家の方は海野さんの作品をどのように感じているのかお話を聞かせて頂きたく永田さんをお誘いしました。
永田さんも海野さんの作品には興味をお持ちで、お誘いに乗って下さいました。




海野さんの代表作品の一つ『障子戸』です。
障子の部分のリアル感が木版画とは思えません。

永田さんをしても、「この作品は原板をどのように切り分けて刷っているか分からない」、とおっしゃっていました。


冒頭の『縁通し』は海野さんの代表作とされ、僕も大好きな作品です。
海野光弘さんが1975年8月に佐賀県の白石平野を訪れた時の景色を題材に1976年に制作され、明暗の対比が特徴的な作品で、特に屋根裏の暗部の表現には驚愕します。

【屋根裏暗部の微妙な濃淡表現に驚嘆】

この作品は1977年、スイス美術館の美術館賞展に出品して優秀賞を受賞し、版画家海野光弘の名前を一躍高めました。


木版画の概念を変えてしまうような海野光弘さんの作品展。
版画ファンの方はこの機会に出掛けてみては如何でしょう。



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