老若男女を問わず、多くの方々に奨めたい本がある。
(当ブログで僕から書物を薦めるのは初めてのことかも)
「へいわとせんそう」(ブロンズ新社)

初版は2019年3月25日に発行され、今年の7月5日第23刷が発行された。
ロシアのウクライナ侵略戦争が勃発した今、俄に注目を浴びている本である。
(フォロワーのみなさんはアンテナが高い方が多いから、この本ご存知ではなかろうか❕)
シンプルな絵と言葉でつづられたこの絵本。
谷川俊太郎さん(90)とイラストレーターのNoritakeさん(41)が初めて一緒に作った作品だ。 絵本は左に「へいわのボク」、右に「せんそうのボク」と書かれた見開きのページから始まる。


「へいわ」側には笑顔の少年が、「せんそう」側にはつらそうな様子の少年が描かれている。
同じ人やものなどが平和と戦争でどのように変わるのか、見比べながら本は進む。

谷川俊太郎さんは日本を代表する詩人、翻訳家、絵本作家で脚本家でもある。

谷川さんは、イラスト作家を自らNoritakeさんに指名してお願いしていた。
「絵が単純だからテキストも単純にしたい。シンプルでどこまで言えるか、ちょっとチャレンジングでした」と谷川さん。
Noritakeさんは本や雑誌の表紙、広告など幅広いジャンルで活躍して、シンプルな線画が印象的だ。

絵本づくりも戦争をテーマに作品をつくるのも今回が初めて。
「エネルギーの大きい方なので、本の方向性がつかめるまでは、会わない方がよいと思っていました」
あえて谷川さんと会わずに制作をすすめた。
制作はスムーズに進み会ったときには「そこまで緊張しなかった。谷川さんとも、舞い上がったりせずにフラットな気持ちで仕事ができました」とNoritakeさん。
戦争を経験した谷川さんと、戦争を知らないNoritakeさん。
シンプルな言葉がゆえ人に訴える力の大きな谷川さんの詩。
シンプルな描写がゆえ分かり易いNoritakeさんのイラスト。
倍以上歳の離れた二人の作品が、完璧にシンクロしている。
見事なコラボレーションである。
今地球上では、ロシアのウクライナへの侵略戦争が起きている。
TVでは毎日戦争シーンが流れ、人々は不感症になりつつある。
そんな今だからこそ、この本を読んでみたいし観てみたい。
戦争を知らない子どもたちに、戦争の無意味さ悲惨さを教えたい。
戦争に無関心な大人たちに、その罪深さと犠牲の大きさを知ってもらいたい。
戦争が終わって平和になるんじゃない。
平和な毎日に戦争が侵入してくるんだ。 谷川 俊太郎
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