登山に出掛ける時に必ず持って行く物があります。
ドリップ抽出でコーヒーを淹れるための道具一式です。
【毎回登山に持って行く “ペーパードリップ用七つ道具”】
山頂に着くと抽出道具を広げてサミットコーヒーを淹れます。
この時のコーヒーが平地では決して味わえない美味しさなのです。
高所のため空気が澄み渡った自然の中で環境が素晴らしいこともありますが、それ以上に珈琲が美味しく淹れられる理由を科学的に説明できます。
標高が高くなると気圧が下がります。
平野部で1,000hPa気圧あったとすると、今回登った瑞牆山頂では760hPa気圧ほどしかありません。
したがって地上での沸点100°Cが瑞牆山頂でお湯を沸かすと92°Cほどで沸騰します。
コーヒー抽出に適した湯温は85〜92°Cですから沸騰したお湯でも適温に近いのです。
またお湯をコーヒーに投入すると豆は膨らみますが、標高が高い所では気圧が低いため非常によく膨らみます。
瑞牆山(2,230m)では久し振りに2,000mを超えてのサミットコーヒーだったのでビックリするほど膨らんでくれました。
珈琲教室を受講された方はよくお分かりでしょう! 豆がよく膨らむと珈琲の中のエッセンスがより抽出し易くなる訳ですね。
【膨らみ抽出した後の珈琲豆】
今回はグアテマラの豆を持って行ったのですが、店ではとても出せない甘く深みのある味に仕上がり、我ながら感動してしまいました。
サミットコーヒー! 止められません。
瑞牆山頂でこんなシーンがありました。
私が珈琲を淹れてると中年男性が近付いて来て声を掛けられました。
「コーヒー凄い良い香りですね! 美味しそうです。」
「はい美味しいです、ビックリするほどに。」
と、私が珈琲の仕事に携わっていることを伝えながら話すと。
「うわ〜! 飲みたくなりますね。」と、覗き込んできます。
「瑞牆山頂スペシャル、一杯3,000円で如何ですか?」と、冗談で言うと。
「えっ! じゃ一杯いただけますか?」と、マジ顔で。
慌てて値段を取り消して少しだけお分けし、感激されました。
瑞牆山の頂きに素敵な思い出を一つ刻んできました。
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