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窪島誠一郎の眼

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【“KAITA EPITAPH残照館” (旧信濃デッサン館)】


静岡県立美術館に「無言館と、かつてありし信濃デッサン館」を観て来ました。

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1979年、長野県上田市に開館した「信濃デッサン館」は若くしてこの世を去った画家のデッサンを集めた異色の美術館でした。
2018年にいったん閉館し、2年後にコレクションの端緒となった画家村山槐多の名を冠した“KAITA EPITAPH残照館”として再開しました。

1997年、同じ上田市に「戦没画学生慰霊美術館」として「無言館」がオープンしました。
全国から戦争で亡くなった画学生の絵が集まっています。
この二つの美術館をつくったのが窪島誠一郎さんは、東京で小劇場「キッド・アイラック・ホール」や画廊「キッド・アイラック・コレクシォン・ギャルリィ」を開設し、画商としても活動した人物です。

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【夭逝した戦没画学生たちの自画像】

この展覧会の会場で目に入るものは、「夭折の画家の作品」「出征する直前の画学生の作品」であるし、作品の力や彼らと戦争にまつわるエピソードに対して深い感動を覚えます。
ですが、本当のテーマは一人で二つの美術館を立ち上げた窪島誠一郎さんという人物そのものだと思います。

この展覧会は静岡県立美術館の木下直之館長肝いりと聞きます。
事実、各章の扉の文章をつづっているのは、木下館長自身だそうです。
その館長が、本展カタログで窪島さんの歩みを書いています。
私設美術館を二つも抱えるに至ったいきさつが克明に描かれます。
本展の「核」は、実のところこの論考に尽きるのではないでしょうか。

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6月、無言館が学校法人立命館と連携することが報じられました。
窪島さんとの共同館主に、文筆家の内田也哉子さんが就任することも決まりました。
美術館、特に私立美術館の持続可能性について議論される昨今、「遺品」を作品として預かる無言館の活動は、これからも注目に値するのではないでしょうか。

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【”無言館”をバックに窪島誠一郎さん】


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