
このシリーズ最後に紹介する偉人は廣瀬幸雄さん。
Sceneの珈琲の味磨きに試行錯誤していた頃、私の目を釘付けにした資料がある。
納得ある解説に共感を覚え味作りの参考にさせて頂いたのが廣瀬さんの著書であった。
Sceneの味作りに大きなヒントを下さった、私が業界で最も尊敬する人物が廣瀬幸雄さんである。

何故廣瀬幸雄さんの著書(その内容)に惹かれたか!、端的に言うと廣瀬幸雄さんが理系人間(工学博士)で理論的に発想し結論を導き出しているからである。
様々な珈琲関連の書物をたくさん読んできたが皆それぞれ言うことが異なり何れを参考にしたら良いのか分からなくなった時期がある。
殆どの著者は自分の経験値や感性に頼って著した表現が多い中、廣瀬幸雄さんのそれは違っていた。
工学博士の廣瀬さんは多面・多角的且つ膨大な実験結果から得られた数値(データ)を基に実証した上で結論を導いている。
私も理系人間なので廣瀬さんの著書を読んだ時その一言一句に納得して、今まで読んで参考にしてきた珈琲専門書の内容がみな吹っ飛んでしまった。
Sceneの珈琲教室B(応用)コースを受講された方は講座の中で私が簡単な実験をお見せしたのを覚えているだろうか?


あの実験方法は廣瀬幸雄さんの著書からヒントを得て私が考案したものである。
今私が最も頻繁に開く珈琲専門書は廣瀬幸雄さんの著書『もっと知りたいコーヒー学』。

廣瀬さんは金沢大学工学部の名誉教授だが、永年にわたる珈琲の研究と実績が認められて現在は日本コーヒー文化学会の会長にも着かれている。
まだお逢い出来ていない廣瀬幸雄さん。
現在金沢市の山中に広大な土地を所有してそこで喫茶店を営んでおられる。
近いうちに是非一度訪ねてみたいと考えている。
余談だが・・・、

廣瀬さんは「鳥を寄せ付けない銅像の科学的研究」によりイグ・ノーベル賞を受賞している。
金沢大学大学院自然科学研究科教授時代の廣瀬幸雄さんは、兼六園にある日本武尊像に鳥の糞害が少ないことを日ごろから疑問に思っていたため、1989年から3年かけて行われた修理作業にたずさわり、像の成分を分析。
砒素含有度が高いと糞害をもたらす鳩などの鳥が近寄りにくいことに気付き、「ハトに嫌われた銅像の化学的考察」で2003年イグノーベル賞化学賞を授与された。
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